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Item / Pottery

Arboras Assiette Blanche 1855-75

 

ちょっと珍しい1枚。積み重ねて埋もれてしまわないように、敢えて取り出しフォーカスしてみます。

1855〜75年頃、アルボラスの白釉リム皿です。

店の定番品として、何年間も紹介を重ねて続けている19世紀の半陶半磁器の白釉リム皿。前提として、どの窯であっても、時代固有の手工業品として通底する魅力があります。ただ、古手のアルボラスの造りというのは、殆ど見たことがありませんでした。

リヨン郊外に拠点を構えた窯の作陶品は、半陶半磁器としてはかなり薄い成形。1840〜50年代辺りのクレイユエモントローのそれとも近しい雰囲気です。工業品としての安定感を保ちつつ、前時代のエレガントな手仕事の気配が見え隠れし、甘手ながら、きりりとした緊張も感じられます。

「この窯の仕事をもっと触れてみたい。」

そう思いながら、現存個体数が少なくなかなか願いの叶わない存在の筆頭でもあるアルボラスによる、当時の基礎仕事の一端。コレクションピースと呼ぶほどではありませんが、ささやかな珍品的白皿です。

 

Grigny, Arboras(グリニー、アルボラス)

リヨンからローヌ川に沿って約20キロ南郊外に位置するアルボラスに1829年に創業した陶器窯。1837年には近隣のグリニーに第2の窯を開き、その後も様々な変遷を経ながら、作陶は1960年代まで続きました。

ローヌ川のふもとに位置し、良質な水源に恵まれていることに加え、フランス革命後、リヨンからサンテティエンヌへと鉄道が走ったことで製品輸送における利便性を得たことが、窯設立において同地が選ばれた理由でした。

クープランでは1800年代の作陶品を主に紹介しています。

最大4か所の窯を時代毎に稼働させ、種類の違う陶器、及び磁器を生産。窯毎に経営・製陶体制は異なり、社名変遷もあるため呼称の統一は難しいですが、1800年代初期のファイアンスフィーヌ作陶においては「アルボラス」を、中期から後期に掛けてのテールドフェール(半陶半磁器)作陶においては、アルボラスに加えて「グリニー」を、クープランでは適宜使い分けています。より広義に捉えるなら「ローヌの陶磁器窯」という総称もあり得るでしょう。

※因みに現在の行政区分では、アルボラスはグリニー市の一地区(Quartier)という位置付け。

前述の通り、1800年代初期には、クレイユ、シャンティイといったフランスの主要な陶器窯に倣ったような、繊細優美なファイアンスフィーヌを作陶しました。

1800年代半ばから後期にかけては、一層の独自性があります。殊にモデリングにおけるエレガントな品のよさは白眉で、釉調も、実直で安定感あるテールドフェールの作陶がフランス全土で最盛期を迎えていたなかで、年代を読み間違うような、どこか不安定で儚げな、前時代的なニュアンスを纏った品を多く手掛けました。

地図(Click!

 


 

約 直径21.2 /高2.7センチ

販売価格(税別)
¥7,000
Stock:1点

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