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Item / Pottery

Creil et Montereau Assiette Creuse Patinéé

 

古色に惹きつけられて手にした白釉深皿です。

刻まれたカトラリー痕や染み込んだ料理の滲みは、当時の生活の気配をありありと今に伝えます。

かつての持ち主によって大切に使われ続けたと美辞麗句を並べたくなるのは現代的な発想で、時代を踏まえれば、当時の(殊に市井の)人々にとって、1つの器を使い続けることは当たり前に過ぎなかった場合が多かっただろうと想像しますが、その無垢な営みこそを何より尊く感じます。

19世紀後期、クレイユエモントローのテールドフェールらしい端正でいてやわらかな作陶感と、そこから使い込まれてこその個々のニュアンス。魅力的です。

 

Creil et Montereau (クレイユ エ モントロー)

1796年に開窯したクレイユと、1700年代前半から製陶を続けていたモントローが、1840年に合併してできたのが陶器会社クレイユエモントロー。1920年にはショワジールロワと合併し、社名をHBCM (Hyppolyte-Boulanger Creil Montereau) と変更し、1955年まで作陶が続けられました。

主なマテリアルは当時の主流であったテールドフェール(半陶半磁器)。
パリのブルジョワジーを顧客に、当時のフランス製陶文化を牽引しました。

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Terre de fer (テールドフェール)

技術的・技法的というよりは、商用的な言葉としての側面のほうが強いため語義は多岐にわたり、厳密な定義付けをすることは難しいですが、1800年代初期までの繊細なファイアンスフィーヌ陶器の少量生産を経て、1800年代半ば以降に台頭する市民社会に向けて量産されるようになった、より実用的で磁器質の強い陶器(半陶半磁器)のことを指してフランス語では「テールドフェール」と呼びます。

それ以前の陶器に比べると、主原料である粘土に磁器生産に使われるカオリンや長石がより多く加えられ、釉薬はホウ砂が主原料となっています。

生産者の手跡が残る不均一な施釉や石膏型の寸法差異、或いは経年による貫入。そうした古い陶器ならではの不安定さと、ある程度量産化が整備された時代の陶器ならではの実直さの双方が同居した、過渡期的な均衡は、今の暮らしに溶け込んだときに、無理のない心地よさを生んでくれるように思います。

クレイユエモントロー、ショワジールロワ、ジアン、サルグミンヌ等々。当時のフランスにおける陶器製造の中心にいた様々な陶磁器窯で、多様なテールドフェール陶器が作られました。

 

 

 


 

個体A(1876〜76年頃作陶):約 直径22 /高3.7センチ
個体B(1880〜90年代頃作陶):約 直径22 /高3.7センチ

個体希望を備考欄にアルファベットを書き添えください。

(ご売約済)

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